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日本板硝子 大野氏に聞く 「新会社設立の狙いは」 市場環境の変化に対応

2023.04.24

 日本板硝子㈱は、既報のとおり、同社国内建築ガラス事業の子会社8社を合併、統合すると発表した。読者の方からはなぜこのタイミングで発表したのか、東京の子会社はなぜ含まれないかなど多くの問い合わせをいただいた。今回は同社アジア事業部日本統括部営業部長・大野義之氏に新会社設立の狙いや概要などを聞いた。

 ――前回も記事で紹介しましたが、なぜこのタイミングで合併、統合の発表を行ったのか。

 「各販売子会社では、コロナ禍以前から業績改善に向けた様々な取組みを行ってきました。ここに来て、コロナによる影響もようやく先が見え、市場環境も落ち着いて来た中で、各社の努力によって業績は改善に向かっております。業績が低迷している状況での統合は、どうしてもシュリンクする方向になりがちですが、各社の業績が安定している今であれば、より前向きな統合が実現できると考えました」

 ――他社が子会社を再編した時に、御社にも再編しないのかと聞いたときは難しいという答えが返ってきました。社内規定などどうするのか。

 「確かに各社で規定や制度など違いはありますので、統一することは難しい部分もありますが、各社員にとって不利益にならないように、できる限り統一していきたいと考えております」

 ――新会社の売り上げ規模や社員数は?

 「売上高については、具体的にはお示しできませんが、社員数は約500名程度になります」

 ――どうして、関東地区のサンクスコーポレーション、日本板硝子関東販売、沖ガラスの3社は今回の合併対象にならなかったのですか。100%出資会社ではなかったからですか。

 「そうではありません。日本板硝子関東販売は当社100%出資の子会社です。関東地区は、工事需要を中心に当面の間は底堅い需要が続くと見ており、現体制を維持する方が適していると判断したからです。また、今回の統合対象の8社と統合に含めていない3社以外には、国内建築ガラス事業の販売子会社はありません」

 ――そうすると将来はあり得るということですか。

 「現状は考えておりません」

 ――新社長は内部からの昇格ですか?

 「本社を東京都のどこに移すかも含め、社長や社名も未定です」

 ――いわゆるリストラなどは進めて行くのでしょうか。

 「今回の統合の目的は、需要構造の変化への対応であり、人員削減等のリストラを目的としたものではありません」

 ――新入社員の面接や現社員の異動は?

 「採用については、当面の間は、現地で行う予定です。ただし、必要な人材をどのように採用するかは、大きな課題であると認識していますので、今後検討して行きたいと思います。異動につきましては、各地域、各社員の状況をよく確認しながら、各個人のキャリアアップに繋がるのであれば、進めていきたいと考えております」

――発表後、統合予定先の社員に変化はありませんか。

「今回の将来を見据えた再編の意義を十分理解してもらい、一緒に統合に向けて取り組んでもらえると信じています」

 

以下は3月29日の発表内容を再掲

日本板硝子は、国内建築ガラス事業部門の子会社再編(統合)につきまして、以下の通りお知らせいたします。

1.再編の目的

当社の国内建築ガラス事業は、これまで一般のガラス取引店などとの取引の他、各地域に配置した販売子会社を通じたガラス製品の販売により、地域の実情やニーズに即した事業運営を行ってまいりました。

今後、日本国内では労働人口、総人口の減少や、新築住宅需要の中長期的な鈍化が見込まれています。一方で、最近の建築用ガラスのトレンドとして、CO2削減や省エネルギーによって環境に貢献できる製品や、安全・防災に効果のある製品などへの様々なニーズが高まっています。また、新築住宅だけでなく、既存住宅へのガラスリフォームの需要も増えているなど、ガラスに関する社会や市場環境が大きく変わりつつあります。こうした変化に対応するため、今般国内の販売子会社を統合再編し以下の点に注力して体制を強化してまいります。

(1)建築用ガラスに関する提案力の強化(2)ユニークな特長を有した商品・サービスの一層の拡販(3)リニューアル市場への取り組み強化(4)人材採用及び人材育成の取り組み強化

2.再編の概要

以下に掲げる当社連結子会社8社を合併、統合します。

(1)合併対象子会社

①日本板硝子北海道㈱②日本板硝子東北㈱③NSGインタリア㈱④日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム㈱⑤日硝㈱⑥高橋硝子建材㈱⑦日本板硝子ウインテック㈱⑧㈱ベールドノール

(2)合併時期

本年10月1日(予定)

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