このページの先頭です
ここから本文です

日本板硝子材料工学助成会 第48回の贈呈式を開催 研究者40名に総額5,390万円を贈呈

2026.05.04

森理事長
助成金が贈呈
経産省綿引課長補佐から祝辞
 (公財)日本板硝子材料工学助成会(森重樹理事長)は4月20日、東京都港区の住友会館において「令和8年度、第48回研究助成金贈呈式」を開催した。今年度は全国の大学・公的機関から寄せられた152件の応募の中から、厳正な審査を経て40件(大学38名、国公立研究機関2名)を採択。昨今の物価高騰や研究環境の厳しさを鑑み、助成総額を前年度より420万円増額した5,390万円とし、無機材料分野の革新的な研究を支援する。
 式典の冒頭、挨拶に立った森理事長は、1979年の設立以来、48年にわたり累計1,566人、約19億8000万円にのぼる助成を続けてきた歩みを振り返った後、「日本が強みを持つ材料分野において、基礎的・工学的な研究の発展に一層努力したい」と述べた。また昨今の物価高や光熱費高騰による研究現場の負担を緩和するため、助成額の増額し、民間助成ならではの柔軟な運営を通じて、材料科学に新しい風をもたらす成果への期待を寄せた。
 続く選考経過報告では、後藤孝選考委員長(東北大学名誉教授)が詳細を説明した。今年度の応募者は29歳から65歳と幅広く、平均年齢は約40歳。女性研究者7名が採択された。研究テーマはガラス、セラミックスといった伝統的な無機材料に加え、ナノ粒子、量子ドット、バイオ医療材料、次世代電池など多岐にわたる。後藤委員長は「いずれも独創性と高い将来性を有する課題であり、基礎科学から応用研究まで広範囲にわたる質の高い申請が揃った」と総括した。
 来賓として祝辞を述べた経済産業省製造産業局素材産業課の綿引隆夫課長補佐は、「ガラス材料は建築・自動車用のみならず、エレクトロニクスやバイオ分野を支える極めて重要な基盤材料であり、新たな知見の創出は我が国の産業競争力強化に直結する」とし、同省の「Go‐Tech事業」などの支援策も紹介しながら、産学官連携の深化を呼びかけた。
 助成金受領者を代表して、東京大学大学院新領域創成科学研究科の杉本宜昭教授が謝辞を述べた。杉本教授は「大学の財政状況が厳しさを増す中、自由な構想で申請できる本助成は大変ありがたい」と感謝の意を表明。自身の研究課題である「原子間力顕微鏡による
シリセンの構造・電子状態の直接観測」に触れ、不規則な原子配列を持つ材料解析の重要性を説くとともに、「本日の縁を大切にし、より良い社会の実現に向けて研究に邁進したい」と力強く抱負を語った。
 贈呈式終了後には、東京大学名誉教授の井上博之氏による特別講演「新しいガラス材料を目指して」が行われ、 最新のガラス研究に関する知見が共有された。その後の懇親会では、専門分野や所属機関を越えた研究者同士の活発な意見交換が行われ、盛会のうちに幕を閉じた。

同じカテゴリの記事