日本板硝子 25年3月期通期 連結売上高8404億100万円 建築用ガラス事業売上高3630億円
2025.06.02
日本板硝子㈱は、2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)決算を発表した。
連結の売上高は8404億100万円(前年同期比0.9%増)、営業利益164億9100万円(同54.0%減)、税引前損失85億2500万円、当期損失134億6600万円、親会社の所有者に帰属する当期損失138億3100万円となった。
セグメント別の概況は次の通り。
○建築用ガラス事業の売上高は3630億円(前連結会計年度は3718億円)、営業利益は136億円(同291億円)となった。売上高および営業利益は欧州を中心に多くの地域で販売数量の減少と販売価格の低下の影響を受け前年度比で減少した。
○自動車用ガラス事業の売上高は4294億円(同4176億円)、営業利益は77億円(同113億円)となった。売上高は、多くの地域において現地通貨ベースでは前年と同水準であったが、円安による為替影響の恩恵を受けたため増加した。
○高機能ガラス事業
高機能ガラス事業の売上高は466億円(同399億円)、営業利益は76億円(同71億円)となった。売上高および営業利益は、多くの事業で需要が回復したため前年度比で増加した。ファインガラス事業では、売上高は前年度比で増加。情報通信デバイス事業では、プリンターおよびスキャナーに対する需要回復に伴い販売数量が大きく回復した。自動車エンジンのタイミングベルト用グラスコードは補修用市場での強い需要が継続。メタシャインの売上高は化粧品向けで増加した。
なお、2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)の通期連結業績予想は、売上収益8500億円(前年同期比1.1%増)、営業利益310億円(同88.0%増)、税引前利益110億円、当期利益40億円、親会社の所有者に帰属する当期利益20億円を見込んでいる。
決算に関する主な質問(抜粋)は次の通り。
Q1 2026年3月期の営業利益予想は310億円であり、2025年3月期から145億円の改善を見ている。改善幅のうち、約50億円は欧州で進めているコスト削減施策と理解しているが、残りの約95億円は何による改善を見ているか?
A1 45億円の増益は主にコスト削減、販売価格の改善および販売数量の回復によるもの。コスト削減に関しては、欧州における施策の他にその他の地域・部門においても一定の効果を見込んでいる。販売価格については、特に欧州建築用ガラス事業で改善を見ており、実際2025年3月期第4四半期では改善が見られた。自動車用ガラス事業においても販売価格の改善を見ている。販売数量は、建築用および自動車用ガラス事業の欧州市場が下期以降に回復する見通しで、それに伴い改善する見込み。
Q2 2026年3月期下期に欧州において販売価格と販売数量の改善を見ているとのことだが、どのような要因で販売価格と販売数量が回復すると見ているのか?関税影響で自動車の生産が減少する可能性もある中、なぜ販売数量が改善すると見込んでいるのか背景を知りたい。
A2 欧州建築用ガラス事業において、2025年3月の販売価格は前月比で約10%弱改善できている。この改善は直近1年間で各社が販売価格の上昇を目指し、生産能力の適正化に取り組んできた結果。米国関税政策については、7月の相互関税猶予期限まではマイナスの影響は想定していない。販売数量は主に自動車用ガラス事業によるものだが、2026年 3月期下期から新規獲得したモデルの生産が開始されることもあり、一定のポジティブな効果を 2025年3月期対比で想定している。
Q3 中期経営計画において、建築用ガラス事業では2027年3月期に営業利益率12%を目標としているが、改善ドライバーとしては何を想定しているか?
A3 欧州建築用ガラス事業の販売価格の立て直しが大きなドライバーとなる。それに加え、太陽電池パネル用ガラス増産による収益拡大や、欧州のフロート窯生産停止を含めたコスト削減、また欧州や日本での付加価値製品拡大なども貢献する見込み。これらの施策により、12%の目標は十分射程圏内であると認識している。